12月*日。
職場の同僚たちに、退職の報告をはじめる。
もうさすがに時期が迫っているし、と上司に言われ
自分でもそろそろ言わなきゃいけない時期だな…と思い始めていたので
覚悟を決めて、まずは同じ担当の同僚たちから伝えることになった。
伝えた同僚はみな、かなり驚いていた。
私はその反応を見て、正直、ちょっと嬉しかった。
人を驚かせることって、快感なんだな。
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上司は上司として、私の抜けた後のメンバー構成を考えなければならず
そのために本社とか、取引先とか、それ以外でも、必要だと思った相手には私の退職をすでに伝えた人たちがいたと後から聞いた。
その人数は私が想定していた人数よりもちょっと多かった。
え、多くない?と正直、思ったけど
まあ立場上、必要な相手に伝える必要があったんだし仕方ないか…
え、でも多くない?笑
せめて私に、「〇〇さんと△△さんには先に伝えますね」って言ってくれてもよかったんじゃない?
と、正直思った、
が、
仕方ないよな、
だって人を驚かせることって、快感なんだもん。
上司だって、私の退社を誰かに伝えて、人を驚かせる快感を味わいたかったんだよなきっと。
ほとんどの人がまだ知らない秘密、
でも近いうちに結局、みんな知ることになる―つまり絶対に絶対に永久に言ってはいけないわけではない―秘密、
しかも他人の秘密を、
ちょっとフライング気味に、誰かに言って、驚かせること。
こんな快感が嫌いな人はいないんじゃないだろうか。