東京から北海道に移住する記録

2024年4月の北海道移住に向けて書きます

北海道で驚いた①ドラゴンフルーツみたいな雪道

 

北海道でまず驚いたのは
雪について。

 

 

なんの前触れもなく雪が降りだし
なんの前触れもなく雪が止む

 

晴天であっても、降る

 

大きな雪が降ると
短時間でも表面は真っ白になり
それは綺麗

 

大変なのは
長期間積もっていた雪が
ちょっとした暖かさで溶け出し
ひとに踏まれ
ぐしゃぐしゃのシャーベット状になっている部分

 

東京の雪は
シャーベット状になったら
それはもう、すぐに溶けてなくなるようなもの

 

でもこっちでは
それがまだ凍る寒さがあるということだ

 

これはまだ歩ける道

汚れた雪の灰色と
大量に撒かれた滑り止めの小石で
ドラゴンフルーツを踏みしめて歩いているような錯覚

 

これが寒さで再凍結し
またザリザリ、ザクザクになり
これはどちらかというと歩きやすいが

 

場所によっては
つるっつるのすべっすべになって
これで転ぶわけだ

 

ちなみに私は
ぐしゃぐしゃの道のなかでも
まだましな端っこのほうを歩こうと
左足を端っこに置いて
右足をどこに置こう、水たまりだしなと
脚の置き場を探していたら
左足の乗っている小さな斜面で滑ってしまった(伝われ)

 

3月も下旬になり
少し暖かい日が続いて
歩道の見える場所が増えてきたけれど
一本別の道に行ってみると
まだまだつるつる・ざくざくの雪道が残っていて
ロードヒーティングなのか
ご近所さんの雪かきの努力なのか
陽当たりなのか
同じ町内でこんなに違いがあるのが不思議

 

あと滑り止めの小石たちは
春が来たら綺麗に無くなるのだろうか
いまはめちゃめちゃ歩道に積もっているが

 

 

 

 

身辺整理⑩裁縫箱を買い替える

 

3月*日
裁縫箱を買い替える

 

引っ越し後、初の断捨離である

 

10年以上前から立派な裁縫箱を所有していたけれど
ボタンつけと、パジャマのゴム替え*1の時くらいにしか
登場の機会はなく

 

でも裁縫箱自体はすごく立派で、可愛く
扱いに困っていたのだが

 

新居でいったん決めた収納場所に入れたら
他のものがほとんど置けず

ほとんど活用しないわりには場所をとりすぎるのだと
ついに認め

速攻で買い替えた

 

今までの裁縫箱の内容物を
新しい裁縫箱に詰め替えてちょうどぴったり

やっぱりいままでのものは大きすぎたのである

 

 

なぜこんなに大きい、手に余るものを所有していたのかと考えると

 

それは育った環境に依るところが大きい
いや、もっとシンプルに言うと

 

母の影響

 

母は嫁入り前に
花嫁修業として
和裁・洋裁・料理など
ひととおり身に着けていた世代
(個人の趣向に合ってもいたのだろう)

 

なので実家には
大きなミシンや、編み機なんかと一緒に
たくさんのこまごまとしたものがぎっしりと詰まった
よく使い込まれた裁縫箱があったのだ

 

子どもの頃の私は
それを開けて
さまざまな針や糸や
そのほか使い方のわからない小物などを
見たり、触ったりするのが好きだった

 

だから最初の結婚で家を出るとき
嫁入り道具?のひとつとして
母が裁縫箱を買ってくれるというときに
それなりの大きさの裁縫箱を選んだのは
当然といえば当然だった

 

が。
母と私の致命的な違い。

 

私は不器用なのだった。

 

そして、母が私の小学校時代には
給食袋や体操着袋、防災頭巾カバーやなんかを
手作りしてくれて
さらにかわいい刺繍を入れてくれたりしたが

私には子どもはいないし
そもそも
手芸一般に対する興味が
それほど持てないまま現在に至るのであった


(子どもの頃は好きだったのだが
大きくなるにつれ、不器用さを実感し
離れていったというほうが正確かもしれない)

 

 

母は私が最初の結婚をするさいに
自分の嫁入り時と同じように
長持ちする、良いものを持たせたいと
思ってくれたのだろう

 

その気持ちがなんとなくわかっていたので
持て余したまま、ここまで持ち続けた
素敵な裁縫箱であったが

 

使いこなせてないしな
そして
最初の結婚を思い出させるもの
もう手放してもいいよね

という自らの心の声に従った

 

メルカリに出品中である

 

 

 

*1:そもそも私の買う価格帯のパジャマはゴムが縫い付けられていて、入れ替えなんかできない

引っ越し⑮家財道具到着、「いつもの」の復元

 

3月*日
海を渡って家財道具が届く

 

ホテルはこの日でチェックアウト
掃除や洗い物をしなくて済むのが快適だったなと
後になってしみじみと思う

 

車道はこう

歩道はこう

部屋に向かう道すがら
お願いしていた引っ越し業者のトラックに追い越され
大変!急がなきゃ!と早足で向かったが
到着しておらず

別のひとの引っ越しだった模様
3月だもの

部屋で待ち構えているとインターホンが鳴り
今度こそ本当に荷物到着

 

元気なおにいさんたちが3人で
ダンボールやらテーブルやらを次々と運んでくれる

 

東京でバラしたベッドとドレッサーを
こちらで組み立て直してくれたのだが
元の姿を知らないのに
よく復元できるなぁ…と感心する

 

風のように去っていった引っ越し屋さんを見送って
私とエスシはベッドに飛び乗る

 

ああ!恋しかったお布団!!

 

私もエスシも
枕が変わると眠れないというような
デリケートな体質ではないが

今回、自宅以外で4連泊をして

使い慣れたベッドというのは
心安らげる場所なんだなぁと
しみじみと実感したのだった

 

よく、犬や猫をもらってきたときには
使っていた毛布なんかも一緒に置いてあげると
安心するよ、なんて聞くが


本当にそうだな、
人間だってこうだもんな、と深く腹落ち

 

しかし寝ている場合じゃないので
荷解き作業を開始する

 

キッチンのシンク下や
洗面台の下なんかには
サイズの合った収納を買う予定なので
それぞれの前にダンボールのまま放置

本も、本棚がまだ完成していないので放置

食器は、とりあえず食器棚へ
配置は追々考えよう

愛着のある照明器具は
変換アダプタがまだないから付けられない

 

結果、まだ受け入れ準備が整っておらず
ほとんどのものがペンディングとなったが

 

早めに仕上がったのが、ドレッサーの内容物の復元

化粧水やティッシュや綿棒なんかを
使い慣れた場所に再配置をして

「いつもの」をまたひとつ、取り戻す

 

「いつもの」、がこんなに安心材料となっているなんて
これまで感じたことがなかった

 

いつものお布団に転がれること

いつもの場所に綿棒があること

 

折しも3月の、震災の記憶がよみがえる時期であった

 

あの震災で、多くの人が「いつもの」を失い
いまだ多くの人が「いつもの」を取り戻せないでいるのかと思うと
胸が痛む

 

 

夜は駅前のラーメン屋へ

絶句

美味しすぎて言葉を失う

 

つるっつるの夜道を歩いて
ホテルではなく、帰宅

 

いつものベッドに潜り込んで眠る

 

 

引っ越し⑭新居に通う

 

3月*日
今日も新居へ

 

新しく購入したものの受け取りや
家具の組み立てをして過ごす

 

ランチは近くのステーキハウスへ

東京では見たことのなかった配膳ロボを初めて目にする

東京じゃないと見れないかなと思っていた配膳ロボに
むしろここで出会えるなんてねと少し面白かった

味は普通

 

帰りにコンビニでボトル缶コーヒーを買ったのだが
ふと思いついて
お部屋のガスストーブの吹き出し口の前に置いておいたら

しばらく経っても暖かく、感激する

 

さらにエスシが買った仕事用のモニターとスマホをつないで
YouTubeでオープン戦を見ながら作業

 

コーヒーと野球観戦とは、なかなかに快適な作業環境である

 

ニトリで小さいハンマーを買ってきたので
昨日よりも組立作業がはかどる
こちらの二日目で慣れてきたこともあり
この日は2つ組み立て完了、
3つ目の途中まで進めて明日へ持ち越す

 

 

夜はなか卯に徒歩で向かう
お店に入る直前に雪が降り出し
食事を終えて外に出るときには大雪であった

 

傘がないので濡れながら移動
ホテルに着くころには止んだ

 

私は昨日よりも元気があったが
今日はエスシのほうが疲れが溜まっている様子

慣れない外食続きというのも影響が大きいな
食事ってすごく大事だ

 

この日も早寝

 

 

引っ越し⑬いよいよ新居へ

 

3月*日
新しい部屋へ

 

8時半ころにホテルを出て
新居に向かうと

もう遠くから
冷蔵庫と洗濯機の搬入業者さんのトラックが停まっているのが見えたので

エスシは雪道を走り
私はよたよたと歩いてその後を追う

 

そんな到着だったので
玄関を開けたときの歓喜!とか
この部屋で北海道生活が始まるのか…!という感激とか
味わう余裕は全然なく
わーわーして入居

 

驚いたのはガスストーブの威力

部屋に備え付けのガスストーブは
薄くて小さくて
これで大丈夫なの?と心配だったが

すぐ点くし、すぐあったかくなるし
その暖かさがエアコンとは大違い!

 

快適に部屋の掃除を進める

 

午後にはカーテン到着
わくわくしながら、でも恐る恐る装着してみたら
すべてサイズぴったり!
完璧な発注!!と小躍りする

 

続いて食器棚到着
組立に苦戦
ドライバー類は持ってきていたが
ハンマーは用意していなかったので
代わりにメジャーで叩く


前の職場の子がくれたチョコを食べながらがんばる

 

お昼は「とんでん」という和食屋さんへ
メニューの豊富さと安さと美味しさに衝撃を受ける

 

最寄のスーパーを偵察。
駐車場も広いし、お店も広い!

 

お部屋に戻って食器棚組立の続き
今日は2つ組み立てる予定だったけれど
1つ組み立てるだけで
慣れない作業に疲労困憊

残りは翌日に回すことにする

 

夜になったのでお部屋を撤収
ざりざりの歩道を歩いてホテルに戻り
途中の駅ビルで買った夜ご飯を食べる

 

私は疲れなのか、風邪の引きはじめなのか
食欲はあまりなく、
何を食べたいかもわからなかったけれど
いま風邪をひくわけにもいかないし、と
果物とかヨーグルトとかを摂取

 

2人ともぐったり疲れて早々に寝る

 

 

引っ越し⑫暮らす街へ

3月*日
暮らす街へ

 

 

新千歳空港に降り立ち
電車に乗り
暮らす街へ

 

 

駅前

雪国だ


わかってはいたが
雪国である

 

スーツケースから
スノーブーツを取り出す間もなく
降り立ってしまったので
ひとまず、注意しながら
ふつうの靴で
踏み固められた歩道をゆっくり歩く

 

エスシは道産子なので
雪道の見極め方を自然と身につけており
安全な道を選んでくれるので
後についていくが
歩くスピードが速い

 

途中で雪が降り始めて
雪!と叫んだが
周りの誰一人として
空を見上げてはいなかった

 

ホテルにチェックイン。

 

きのう搬出した家財道具の到着まで
あと数日あるので
これからしばらく、ホテル暮らしである

 

荷物を置いたら
スノーブーツに履き替え
すぐに近くの不動産屋さんへ行って
新しい部屋の鍵を受け取り

(雪は止んでいた)

コンビニを経由して夜ご飯を買い
改めてホテルへ

 

 

尚、
駅➡ホテル➡不動産屋➡コンビニ➡ホテルの道のりは
足もとしか見ていないので
どこをどう通ったのか覚えていない

 

暮らす街の夜景

 

これからこの街で暮らすのだな

 

 

帰る家がなく
ホテルに連泊するなんて初めてで
わくわくしていたのだが

明日は早い時間に
購入した洗濯機と冷蔵庫が届き
ガス開栓の立ち合いもあるので

浮かれているわけにもいかず

大浴場でのびのびと入浴し
食事を済ませ
早々に就寝

 

明日はついに新居に向かう

 

 

引っ越し⑪東京から北海道へ

3月*日
東京から北海道へ

 

 

荷物の搬出の翌日、
退去の立ち合いを終わらせた日の夕方に
AIR DOで羽田から新千歳へ

 

 

来なくていいよ、と言っておいたのに
兄貴が仕事を抜け出して
見送りに来てくれた

 

兄貴も実家を出ているけれど
頻繁に顔を出していて
今回、年老いた両親を置いて移住できるのも
兄貴がいてくれるからというところも大きいのは確かであった

 

3つ上の兄貴のことは大人になるまでは
男女のきょうだいではありがちな
得体の知れない、奇妙な存在だと思っていたが

大人になってからは
まあそこそこ仲良くなれて

ちょっと変わっているけれど
悪いやつではないし
健康に、幸せでいてほしいと
思っている

 

保安検査場前で別れるとき
不覚にも泣きそうになってしまったので
目を逸らしながら「いろいろ、よろしく頼むわ」と伝えた

 

機内へ。

すてきなたびを

いつもどおり
すてきなたびを、と
ベア・ドゥが笑ってくれている

 

もし北海道に馴染めなかったら
いつでも戻れるよ
なぜならこれはひとつの旅にすぎないのだから と

言ってくれているのだ、きっと

 

離陸時、感極まるものがあるだろうかと
思っていたが
ここ数日の疲労のせいで
眠気のほうが勝っており

 

うとうとしながら東京を離れる

 

定刻で新千歳へ

 

雪国であった

 

少し地面が見えていてほっとする

 

 

空港でLINEをひらくと
兄貴から
私たちの乗った飛行機が離陸する動画が送られてきていた

 

ああ、私たちは東京を離れたのだ、確かに