9月*日。
後輩が退職するという。
えっっ…
言葉を失った。
だって、彼女には今後、上のポジションを用意したいと思っていたから。
私が辞めた後、チームを引っ張っていってくれる子だと思っていたから。
そして、言いたいのに言えない。
「実は、私も辞めるんだ」
彼女は私より先に辞める。
だから今、「実は、私も辞めるんだ」を言ってもいいと思うの。
だって彼女はもうこの職場を去るのだから、
彼女にとって、彼女なき後の職場のメンバーなんて、もう無関係なことだから。
しかも、彼女はぽろぽろと涙を流すのだ。
「自分で決めたことですが、不安で不安で仕方ないんです…」と。
わかる。わかりすぎる。
自分で決めたことなのに、不安で不安で仕方がない。
だから本当は言いたいんだよ、
「実は、私も辞めるんだ。不安なのわかる、私も同じ」って。
で、「お互いがんばろうね」って、励まし合いたい
でもな、そうは行かないんだ私よ。
彼女の退職と私の退職は全然別の話。
辞めていく彼女に対して、実は私も辞めるのだと、言って何になる?
そんなことが、彼女の励ましになるわけがないじゃないか。
退職の痛みは、それぞれで乗り越えなきゃいけないんだから
同意や励ましのふりをした弱音を、後輩の前で吐くわけにはいかないのだ。
がんばれ私。私は私の痛みを乗り越えろ。
あとがんばれ、後輩。